日本人とコンセプト:広告はコンセプトありき。

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まえと、そのまえからの続き。
ちなみに、広告制作の世界では、基本、コンセプチュアルなやり方で進められます。
誰をターゲットに、どんな訴求ポイントで制作するか。ディレクターが規定したコンセプトに基づき、デザイナーがラフスケッチを描き、コピーライターがキャッチフレーズを書きます。それをアートディレクターやコピーディレクターが実際の広告案として仕立てていきます。
訴求ポイントをくっきり伝えるには、例えば写真撮影が良いのか、イラスト表現なのか。キャッチフレーズのものの言い方、フォントやレイアウトはどうするか。すべて、当初規定したコンセプトを外さないように作業が進められます。
写真撮る時間がないから、そこはイラストで。なんていう選択肢はありません。写真がベストと判断されたら、現地スタッフを調達するなど、いろんな方法を使って遂行されます。ドラえもんのポケットから便利ツールを出してくる、みたいな。ま、広告キャンペーンの規模や予算にもよりますけど(笑)。
コンセプトを具現化した表現プランができなかったら、例えプレゼン直前でも、徹夜してでも表現を探し直して作ります。
ほら、こんなところはジョブズのやり方と同じ。なので、彼のやり方は僕は理解できます。共感もできる。
で、そうやって作った広告プランを、得意先の会社でどのように決定するか。
全社規模、事業部規模の大きなキャンペーンだと、クライアントの担当や幹部で話し合って提出した案をそのままお買い上げ、ということが多いかな。
だけど、部門ごとの純広告とか、それほど規模が大きくなくなると、まず多数決。だいたいの会社が。イントラに案を上げて、みんなで投票したりして。
で、「A案のこの部分と、B案のこの部分を合わせた修正案が欲しい」という返答もしょっちゅう。
よく聞くと「A案は部長推し、だけどスタッフはB案が良い、って言ったので」などと、ここでも合議制の論理。
こうやって、訴求ポイントやターゲットなど、コンセプトがゴチャゴチャにされた、わけの分からない広告が世の中に出ていくわけです(苦笑)。
なんだかわけ分かんないなー、なんて思える広告は、こんな風にして送り出されたものかもしれないです。たぶん。
※画像はhttp://free-images.gatag.net/tag/graphics より

日本人とコンセプト:やったことないので、分からない。その例?

まえの続き。
コンセプチュアルなやり方は、やったことがない人にとっては理解できない。その実例として。
昔、カーナビの開発関連の作業でのこと。
発注側の開発部長はこう言いました。
・検索のインデックスを作ってほしい
・地図データが揃ってないエリアがあるけど、そこはブランクでかまわない
・データが揃い次第、追加していく
それに対して受注側の開発者は、
・インデックスが追加されることもあるので、データが揃わないと着手できない
との一点張り。打ち合わせは平行線のまま。ま、開発ツールの制約とかもあるので、ぴったり当てはまる例とはいえないかもしれないけど。
ただ、この直後ぐらいから「オブジェクト指向」というコンセプチュアルっぽい開発手法も出てきましたが。
部長側は、コンセプチュアルな手法でやってほしい、といってるのに対し、
開発側は、積み上げる方法でしかできない、ということかと。
川上から降りるか、川下から上がっていくか。
どっちにしろ、同じ場所に辿り着こうとしているんですけどね。
ただ、合議制の場合は「みんなの意見」という不確定要素が往々にしてあるので、
「着いてみたら別の場所だった」ということがあるような。
そんな例は、また次のエントリで。
※画像はhttp://www.flickr.com/photos/e3000/8498378262/in/photostream/より

日本人とコンセプト:やったことないので、分からない。

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スティーブジョブズのようなアイデアと実行力で、現状の打破を!なんて。
少し前、スティーブジョブズ待望論が日本で起こってました。

目標設定、
実現へのアプローチ、
決断力、
そして実行力、などなど、
これからのモノづくりが見習うべき要素がいっぱい! みたいなことを言う評論家の先生とかをよく見たんですけどね。一時期。
でもね、無理ですよ。日本の企業で。
起業したばかりとか中小企業だったらいざ知らず。
ジョブズは、コンセプチュアルなやり方だった。
最初に目標、到達点ありき。しかも、とても具体的に緻密にプランニングされていた、と聞きます。Appleの社員は、言ってみればジョブズのプランを実現するために働いた、ともいえる。
で、一切の妥協を排して目標の実現をめざした。それができない場合は、例え発表間近であってもやり直させたり。iPhoneも、そういう製造手法でできた商品。
でも、そんなやり方、日本人は教わったことがない。体験したことがない。だから、できない。と思う。
だって、
学校では、学級委員会で多数決。
会社に入ったら、上司を含めて合議制。
みんなで意見を出し合って、みんなで納得しないと進まない手法。
ちょっとでも強引な人がいると、「ワンマン」とか言っちゃって排除しようとしてません?
最近は「リーダー育成」を掲げる学校もあるようだけど。どんなやり方やってるんでしょう?
こうした流れがあるせいか、日本の会社はおおむね合議制で仕事を進めていきます。
で、たまに上長や社長から「ツルの一声」があったり、それが多いと「ワンマン」と下の社員から烙印を押されたり。最近は「ブラック」という称号?も。
そんな職場も長く続けていると、「しきたり」「慣行」ができて、それらをもとに「場の空気」が醸成されて。それに染まらないと、「変わり者」とか言われたり。
そういう中に、スティーブジョブズが来て、彼の流儀で仕事を進めたって・・・結果は、火を見るより明らかなんじゃないですか。
※画像はhttp://ja.wikipedia.org/wiki/スティーブ・ジョブズ より

政策って、あった?

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景気をよくするとか、そのために命をかけて頑張るとか、原発止めるとか続けるとか、子どもたちを戦争にやらないとか、とか、とか。
政策というより、お題目ばっかり聞かされていたような気がする。
ちなみに「題目」とは、
  1. 書物や作品などの標題。
  2. 討議や研究などで、問題として取りあげる事柄。
  3. 日蓮宗で唱える「南無妙法蓮華経」の7字。
  4. (多く「お題目」の形で)口先だけで、実質のともなわないこと。「お―ばかり並べる」
 
僕としては「2」を期待したいんだけど、どう考えても「4」にしか当てはまらないような、、、
アベノミクスを批判するのは良いけど代案がない、とか、
原発止めるんだったらエネルギー予測とそれに基づくコスト計算=将来像はどうなる?
TPP離脱するんだったら日本の農業や生活の将来像をどう描くのか、
集団的自衛権を否定するなら日本はどんな立ち位置を取るのか、
とかとかとか、いっこうに説明ないまま。
共産党は「原発を止めてもやっていけてるじゃないか」といってたけど、CO2の問題や、貿易赤字の件は言及なし。
パッと見ただけでも、実現の可能性や方法論が詰められてないし、それより何より、将来像がぜんぜん見えない。
要は、コンセプトがまったく感じられない。
あるのは、現実=政治だったら自民党の政策に対する文句、単なる反論、あるいは罵詈雑言。
文字通り「建設的」な提言、ないしは未来像を提示してくれるところは、ほぼナシでしたね。
次世代の党が、日本の進む先を示唆していたように思えるのと、
維新の党が、現状打破のための道筋を示していたのが、記憶に残ってるくらいかな。
基本的な方向性を打ち出し、それに基づいて施策を発信する。
そんな、コンセプトに基づいた戦略とか戦術を展開している政党は見当たらない感じですね。
そもそも、日本人ってコンセプトに基づく展開って、苦手。というか、やったことないので分からないんだと思う。
それはなぜ?というのは長くなるので、次回以降に。
※画像はhttps://www.facebook.com/ld.blogos/photos/a.360931943932918.106088.161962970496484/1026486657377440/?type=1&theaterより