ショップメールは、お客様に「いらっしゃいませ」って挨拶するのと同じだと実感した例。

「いらっしゃいませ」って言えないお店みたいだよな、と思ったのでした。いや、今どき問い合わせメールの返事さえも返さないような店のことです。
クルマのタイヤを替えることになりました。
まずはタイヤ本体の値段をネットで調べたり、リアルの店舗に電話で聞いたり。そうしたらなんとビックリ!
ネットなら約7万(4本/送料込み)の価格が、
リアルだと16万円!! これは後述する組み替え工賃込みの値段なのだけど、これだけ価格差があったら、もはやリアル店舗に頼む気になれない。
あらためて、ネットの価格破壊を実感したわけで。
ただし、タイヤは組み替えという作業が必要です。最近は、古タイヤに対して廃棄料も払わないといけません。
商品を依頼したネット店舗はタイヤ販売だけなので、自宅近くで組み替えをしてくれる場所を探さないといけません。
そこで、また検索。
すると、ありましたありました! 僕のような「ネットで買って、工場で取り付け」の人たちのために、専用のマッチングサイトなどもあり、すぐにいくつかリストアップ。
さっそく、問い合わせのメールを打ったところ、4件中なんと2件がナシのつぶて。返事が来ない。
こういう作業や行程が面倒くさいひとは、16万円払ってリアル店舗で一気にやるんだろうな、とも思ったのですが。
ただ、残り2件のうちの1件がとてもていねいな対応で、問い合わせメールにすぐに返事が来たり、先方から確認メールをわざわざ送ってきたり。こちらが恐縮して「ありがとう」と打つと、ほどなくして「お待ちしてます」と帰ってきたり。
メールって便利だけど、顔を合わせてるわけじゃないから、今回のように初対面どうしの場合、きめ細かく対応しないと、行き違いが生まれたり、不信感が出てきたり、ということもよくあります。そういうデメリットを承知の上で、しっかりメールというツールを利用しているという感じでした。
そのお店のウェブサイトを見ると、町の小さな自動車工場で、決して人手は多そうにないんですが。メールのやり取りを通じて、僕は「安心して任せそう」という気になってきました。実際は、作業をお願いしてみないと分からないんですけどね(笑)
商売は、お客様とお会いして「いらっしゃいませ」から始まります。いまどき、リアル店舗でもウェブサイトも構えて、問い合わせをメールでも受けているようなら、せめてすぐに返事を戻してくれないと。
冒頭にも書いたけど、メールの返事もよこさないような店は、店頭で「いらっしゃいませ」も言えないのと同じ。
「ネットの時代になって、お店の商売が儲からなくなった」という話をあちこちでよく聞きますけど、ネットの時代になったからこそ、そういう基本的なことをきちんとやっていくことが大事なんじゃないの? とも思ったりしたのでした。

日本人とコンセプト:広告はコンセプトありき。

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まえと、そのまえからの続き。
ちなみに、広告制作の世界では、基本、コンセプチュアルなやり方で進められます。
誰をターゲットに、どんな訴求ポイントで制作するか。ディレクターが規定したコンセプトに基づき、デザイナーがラフスケッチを描き、コピーライターがキャッチフレーズを書きます。それをアートディレクターやコピーディレクターが実際の広告案として仕立てていきます。
訴求ポイントをくっきり伝えるには、例えば写真撮影が良いのか、イラスト表現なのか。キャッチフレーズのものの言い方、フォントやレイアウトはどうするか。すべて、当初規定したコンセプトを外さないように作業が進められます。
写真撮る時間がないから、そこはイラストで。なんていう選択肢はありません。写真がベストと判断されたら、現地スタッフを調達するなど、いろんな方法を使って遂行されます。ドラえもんのポケットから便利ツールを出してくる、みたいな。ま、広告キャンペーンの規模や予算にもよりますけど(笑)。
コンセプトを具現化した表現プランができなかったら、例えプレゼン直前でも、徹夜してでも表現を探し直して作ります。
ほら、こんなところはジョブズのやり方と同じ。なので、彼のやり方は僕は理解できます。共感もできる。
で、そうやって作った広告プランを、得意先の会社でどのように決定するか。
全社規模、事業部規模の大きなキャンペーンだと、クライアントの担当や幹部で話し合って提出した案をそのままお買い上げ、ということが多いかな。
だけど、部門ごとの純広告とか、それほど規模が大きくなくなると、まず多数決。だいたいの会社が。イントラに案を上げて、みんなで投票したりして。
で、「A案のこの部分と、B案のこの部分を合わせた修正案が欲しい」という返答もしょっちゅう。
よく聞くと「A案は部長推し、だけどスタッフはB案が良い、って言ったので」などと、ここでも合議制の論理。
こうやって、訴求ポイントやターゲットなど、コンセプトがゴチャゴチャにされた、わけの分からない広告が世の中に出ていくわけです(苦笑)。
なんだかわけ分かんないなー、なんて思える広告は、こんな風にして送り出されたものかもしれないです。たぶん。
※画像はhttp://free-images.gatag.net/tag/graphics より

日本人とコンセプト:やったことないので、分からない。その例?

まえの続き。
コンセプチュアルなやり方は、やったことがない人にとっては理解できない。その実例として。
昔、カーナビの開発関連の作業でのこと。
発注側の開発部長はこう言いました。
・検索のインデックスを作ってほしい
・地図データが揃ってないエリアがあるけど、そこはブランクでかまわない
・データが揃い次第、追加していく
それに対して受注側の開発者は、
・インデックスが追加されることもあるので、データが揃わないと着手できない
との一点張り。打ち合わせは平行線のまま。ま、開発ツールの制約とかもあるので、ぴったり当てはまる例とはいえないかもしれないけど。
ただ、この直後ぐらいから「オブジェクト指向」というコンセプチュアルっぽい開発手法も出てきましたが。
部長側は、コンセプチュアルな手法でやってほしい、といってるのに対し、
開発側は、積み上げる方法でしかできない、ということかと。
川上から降りるか、川下から上がっていくか。
どっちにしろ、同じ場所に辿り着こうとしているんですけどね。
ただ、合議制の場合は「みんなの意見」という不確定要素が往々にしてあるので、
「着いてみたら別の場所だった」ということがあるような。
そんな例は、また次のエントリで。
※画像はhttp://www.flickr.com/photos/e3000/8498378262/in/photostream/より

日本人とコンセプト:やったことないので、分からない。

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スティーブジョブズのようなアイデアと実行力で、現状の打破を!なんて。
少し前、スティーブジョブズ待望論が日本で起こってました。

目標設定、
実現へのアプローチ、
決断力、
そして実行力、などなど、
これからのモノづくりが見習うべき要素がいっぱい! みたいなことを言う評論家の先生とかをよく見たんですけどね。一時期。
でもね、無理ですよ。日本の企業で。
起業したばかりとか中小企業だったらいざ知らず。
ジョブズは、コンセプチュアルなやり方だった。
最初に目標、到達点ありき。しかも、とても具体的に緻密にプランニングされていた、と聞きます。Appleの社員は、言ってみればジョブズのプランを実現するために働いた、ともいえる。
で、一切の妥協を排して目標の実現をめざした。それができない場合は、例え発表間近であってもやり直させたり。iPhoneも、そういう製造手法でできた商品。
でも、そんなやり方、日本人は教わったことがない。体験したことがない。だから、できない。と思う。
だって、
学校では、学級委員会で多数決。
会社に入ったら、上司を含めて合議制。
みんなで意見を出し合って、みんなで納得しないと進まない手法。
ちょっとでも強引な人がいると、「ワンマン」とか言っちゃって排除しようとしてません?
最近は「リーダー育成」を掲げる学校もあるようだけど。どんなやり方やってるんでしょう?
こうした流れがあるせいか、日本の会社はおおむね合議制で仕事を進めていきます。
で、たまに上長や社長から「ツルの一声」があったり、それが多いと「ワンマン」と下の社員から烙印を押されたり。最近は「ブラック」という称号?も。
そんな職場も長く続けていると、「しきたり」「慣行」ができて、それらをもとに「場の空気」が醸成されて。それに染まらないと、「変わり者」とか言われたり。
そういう中に、スティーブジョブズが来て、彼の流儀で仕事を進めたって・・・結果は、火を見るより明らかなんじゃないですか。
※画像はhttp://ja.wikipedia.org/wiki/スティーブ・ジョブズ より