最近のテレビって、さぁ!

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これじゃ、ネットのまとめサイトみたいだよね。っていうテレビ番組が増えてる気がする。

YouTubeの動画を持ってきて、それをヒナ壇芸人がみんなで見て、あれこれ言い合う。その他にも、ネットで拾ってきた情報をあれこれ検証したり。最悪なのは、すでにPCで見ていてオチまで知ってるパターン。なーんにも面白くないので、チャンネルを回すことになる。

手軽に作れて、そこそこの「数字」が取れそうなので、つい作っちゃう、という図式は分かるけど。

情報メディアとしても、ちょっとどうか。

先日の人質テロ、発覚したときは何しろ情報がなかった。中東という、いつもは視野の外の地域の問題。「イスラム国」だなんていままでにないテロ集団、イスラム教という巨大宗教、西欧との対立、文化の溝、複雑な歴史、、、あまりにも知らないことばかりだったので、とにかく情報が欲しいと思った。

それなのにテレビや新聞は、一様に同じような内容を繰り返し報道するのみ。各社とも、把握してる情報の内容や深さは同じ感じだった。であるならば、専門家を独自のルートで引っ張ってきて情報やコメントをもらう。そこにこそマスコミの役割があるはずなんだけど、それもほとんどなく。

専門外のコメンテーターや論説委員などは「こうなったのも安倍首相のせい」などと、ヤケクソみたいなノイズを振りまく始末。

事件の正確な情報をとってきて、それを流す。情報機関が本来やるべき仕事が成されていない。

で、頼りになるのは結局、ネットなわけで。

東大の池内准教授のブログやFacebookへの書き込みなどは、情報がほしい僕にとってはその内容や質ともにとても役立った。極端な話、知識を持った専門家が、こうしてネットで情報を流してくれることで、情報の収集は成り立ってしまう。どの局も同じ内容で、ときにバイアスのかかった情報を流すテレビと付き合うのは、時間のムダじゃないか。そんなふうにも思ってしまった。

面白くない、楽しくない、タイムリーじゃない、正確じゃない。

民放の地上波なんて、スポンサーからもらった時間枠を、なんとか埋めるような番組ばかり。

こういう仕事をしているので、テレビはいらない、とは思わないけど。

スポンサーの顔色を気にしてばかりではなく、もう少し、視聴者や社会と向き合ってくれてもいいんじゃないか、と思う。

※画像はhttp://www.bbc.com/news/world-middle-east-31411284より

すごい文章家(ホントは学者さん)が現れた!(僕が知らなかっただけ?)

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東京大学准教授の池内恵(さとし)さんの文章が楽しい。ブログやFacebookの書き込みを読むのが、いきなりマイブームになってしまった。

何しろ、キレがある。

「学者もどきの現状全否定阿保ユートピア本」(『イスラーム国の衝撃』の主要書店での在庫状況を調べてみました)なんて、すごいキャッチフレーズだと思う。

ISISの人質事件で、安倍政権の姿勢を批判する人たちに対して、次のように書いている。

「特定の勢力の気分を害する政策をやればテロが起こるからやめろ」という議論が成り立つなら、民主政治も主権国家も成り立たない。ただ剥き出しの暴力を行使するものの意が通る社会になる。今回の件で、「イスラーム国を刺激した」ことを非難する論調を提示する者が出てきた場合、そのような暴力が勝つ社会にしたいのですかと問いたい。(「イスラーム国」による日本人人質殺害予告について:メディアの皆様へ

もともとはアラブ諸国を研究テーマにされている学者さんで、近著「イスラーム国の衝撃」の出版がたまたま例の人質事件と重なり、いきなり、という感じで注目されたかた。

その文章は舌鋒鋭くて、何しろ正論。反論の余地さえない、ど真ん中の正論。

「そのような暴力が勝つ社会にしたいのですかと問いたい。」という問いかけに反論できる人なんか、いるんだろうか。

多分、ものすごい量の文章を書いて、基本的な言葉の意味をきちんと把握しているんだと思う。

一方で、膨大な本を読み、知識を詰め込んでる。その豊かな知識を土台に、正確で揺るぎない全体論理が構築されている。

しかも、Twitter時代などSNSで磨いたと思われる、リズミカルでモダンな言葉回しと文章で全体デザインされている。

まさに現代アートのような、って言いすぎ?

僕も書いてみたいけど、ちょっとやそっとじゃ書けないよなぁ。

※画像はhttp://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2014/06/r00027503/より