心の境界線。

「それは余計なお世話だよ」
思わず、ちょっと声を荒げてしまった。
昨夜のこと、友人から電話があって。
ひとしきり、くだらない話のあと、子育てにかかるお金の話に。
あいにく、その友人には子どもがいない。欲しかったけどできなかったのか、自分たちの意思で作らなかったのかは知らない。僕が感知することではないし。あいつから話してくれば、聞いたかもしれないけど、話してこないし。
誰しも、立ち入って欲しくない部分があると思う。いくら長いつきあいでも。
そういうところは、とくに関わらないようにしたいと思ってる。気を回しすぎかもしれないけど、僕がそうしてほしくないから、他の人にもしないだけだ。
だけど、どういうわけか、昨夜の彼はその“一線”を越えてきちゃったんだな。
子育てにはカネがかかるだろう、それも二人もいるとなるとなおさらだよね、僕の友だちにもいまヒーヒー言ってるのがいるんだけどさ、いますごいかかるんだよね?
途中から、黙って聞いていられなくなった。
経験ないのに、知ったクチきくなよな。お前には別にそんなことどうだって良いことじゃないか。そこは俺が触れてほしくないところ。例えお前でも、訳知り顔で首を突っ込んで欲しくないな。
帰宅して一段落、さあこれからビールでも飲もう、というときだったせいもあって、イライラもボリウムアップ!
そう。ワイドショーとか見ていても思うんだけど、イラッとくるのが、訳知り顔で首を突っ込んでくるリポーターたち。そして偉そうな顔して毒にも薬にもならないことをいうコメンテーターという役の人。あれと同質な感触を、電話の友人にも感じてしまったんだな。
そんな話したって、共感も感動も、なんにも生まれない。
それどころか、当事者にとっては迷惑だったり、苦痛を感じたりするだけ。
「切るよ」と言って電話を置いて、ビールを一杯。少し落ち着いた後、
「俺って、そういうコピー書いてないよな」なんて、自分の仕事を思い出したりした。

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