残念な思い出

朝日新聞から、以前、取材を受けたことがあります。

自分が抱えている住宅ローンの制度で不満があり、そのはけ口が見当たらなかったので、朝日新聞のWebページに書き込みました。いまは窓口は見つけられないのですが、当時、朝日新聞では読者の意見や感想をWebページから受け付けていました。

それがたまたま投書欄の担当の目に止まったのでしょう。まず、投書欄に掲載されました。それを読んだ記者さんから電話があり、ちょうどまとめている記事の内容に合っているので取材させてもらえないか、と申し出がありました。

新宿西口、いまカメラや家電の店が乱立しているあたりで記者さんと会いました。「それほど取材費がないので」と、安い焼き鳥のお店で取材費の範囲内でちびちびと呑みながら話したのを憶えています。

記者さんは、終始まじめに僕の話に耳を傾けてくれました。主にメモを取っていたので、お酒に手を伸ばすことはあまりありませんでした。住宅ローンについて、自分はどこに問題があると思っているか。それから高じて家を持つということや自分の家族のことも話したと思います。

だいたい話し終えたころ、「住宅ローンの問題はあるけど、お話を聞いていたら僕も自分の家が欲しくなっちゃった」と笑いながら言っていたことが記憶に残っています。悪い人ではありませんでした。仕事に熱心で、取材対象の僕にマジメで。多くの人が持つような感情やモラルを持っている、共感できる人でした。

その後、編集担当の方から原稿が送られてきて、確認をしてひとつふたつ、修正のお願いをしました。電話で何度か話しましたが、その編集の方もていねいな対応で、僕の要望にひとつひとつ答えてくれました。トップ企業らしい、誠実で真摯な仕事ぶりでした。

昨日、朝日新聞から、昨今の不手際をわびる折り込みが入っていました。折り込みを見て、もう何年も前のことになりますが、取材を受けたときのことを思い出したのです。

あのときの記者さんや編集の方はあれほど真面目で熱心だったのに、と、いまさらながら残念な思いを感じたのでした。

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