Googleのためにコンテンツ作ってるわけじゃない〜ウェルク閉鎖で思うこと

ウェルク炎上が暴いた劣悪メディアの仕掛け なぜニセ情報が大量の読者を獲得したのか

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“ココロとカラダの教科書”をうたったエセ医療情報サイト「ウェルク」が閉鎖になった。
私も仕事で医療コンテンツの制作をしてるので、いい加減な方法でいい加減に作られたサイトが閉鎖されたことに関して、スッキリとしている。

ウェルクはモバゲーなどで有名な一部上場企業、DeNAの運営。
ランサーズなどのクラウドソーシングを利用して“ライター”と称する人たちにハイパーローコストで「記事」と呼ぶテキストの塊を制作させる。「記事」には、事実よりもGoogleの検索エンジンが好むようなキーワードを羅列することが優先され、それを大量にばらまくことでトラフィックを稼ぎ、広告媒体としての価値を高め、マネタイズする。というビジネスモデルだった。

こう書くと、DeNAは単に金儲けのためだけにこのサイトを運営してきた、というのがよく分かる。
読者に対し、その興味に応えたり、悩みや課題を解決に導くための情報(しかも正確な情報)を提供する、ということがメディア本来の「価値」であるはず。それなのに今回の場合は、単に広告媒体としての価値が最優先され、そのために「記事」は読者よりもGoogleの検索エンジンをターゲットとして書かれていたわけだ。
Googleのサーチエンジン・オリエンテッドなテキスト作成、とでもいうか。

僕がムカついていたのは、この点ですね。
僕は仕事でテキストを起こしたりコンテンツを制作しているけれど、Googleばかり相手にしてるわけじゃない。その向こうにいる読者のためになったり、少しでも楽しい気分になって欲しいからやっているわけで。
それなのに、「見出しは○○文字以内で」とか「最後に必ずまとめを書いてください」とか、そのコンテンツには場違いな要求をしてくる訳知り顔の人が、ことのところものすごく増えた。この前なんて「僕はGoogleのために文章書いてるわけじゃないですから」って、発注先の人と揉めたりしたことも。

もちろん、SEO対策の必要性や検索上位になる価値も分かっているつもり。でも、そのことがコンテンツ制作の目標になっていないか。情報の正確性や読者への影響力よりも重要視され、「メディア」としての役割やスタイルがだんだん歪められてきていないか。ウェルクは、その最たる例だ。

メディアって何だっけ? 僕らは何のためにコンテンツを作るんだっけ?
ウェルクの一件が、みんなで考え直すきっかけになればと思う。

僕は、Googleのためにコンテンツ作ってるわけじゃないからね。

「創る」という行為は、理論なんかじゃなくある意味「狂気」だと思う。それがよく分かる作品