ポケモンGOと、セカイカメラ。アイデアが熟すには、やはり時間が必要?

ポケモンGOのニュースを聞いて、「セカイカメラ」を思い出した。

ポケモンGOと同じく拡張現実(AR)のアプリとして、iPhoneのカメラ画像にGPSとコンパスで場所を特定して、タグを貼ったりコミュニケーションできた。いまだったら食べログの評価をリアル空間に重ね合わせるような、そんなことができるシステムだった。

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あれは2008年か2009年くらいだったか、アプリのリリース前にたまたま仕事関連で、セカイカメラの関係者とミーティングする機会があった。
「このアプリで世界が変わります!」って、彼はドヤ顔でいろいろ説明してくれて。
「そうですか、使ってみます!」と僕も感化されて帰ってきた。

リリース後、実際にあちこちで使ってみたが、正直なところ「うーん・・・」という感じ。
まず、アプリの動作が重い。カメラを向けても、その地点などのタグ情報の表示がモッサリしていた。カメラを動かすとタグもいっしょに動くが、カクカクとしていて美しくない。

タグを書き込んでも、それが反映されて表示されるまでにかなり時間がかかる。だから、街中でタグを見つけてそれを確認するにも相当な時間がかかる。移動の途中でちょっとタグを貼ったり見たり、というようなことはちょっと難しかった。

当時はインターネットの回線が遅かったし(3G)、システム自身や端末自体のデータの処理速度もそれなりの速さ(遅さ?)だった。GPSの精度もいまから比べればまだまだ。

つまり、アイデアは良かったけれど、インフラが付いてきていなかった。
カッコいいクルマはできたが、道がでこぼこでボロだったようなもの。

そして時間は過ぎて。
「ポケモンGO、本日リリース」とスマホのお知らせ画面に次々とニュース速報が流れてきて、それに押されるようにダウンロードしてやってみた。

カメラは滑らかで美しく、そこに表示されるポケモンのキャラクターはかわいくて元気に動く。モンスターボールも自分の思うとおりの方向や距離に飛んで行く。

こんどのARは僕も楽しいと感じた。みんなが熱狂する理由が分かった気がした。
こんな“拡張現実”の世界を、セカイカメラは作りたかったんだろうな、と思った。

インターネットもマシンもGPSも、インフラのパフォーマンスがやっと追いついてきたんだと思った。

セカイカメラの着想から、ポケモンGOに行き着くまでに7〜8年。
テクノロジーの開発やイノベーションのスピードが速くなっているけど、アイデアが実用化するまでには、やはりそのくらいの時間は必要なのかもしれない。

※ポケモンGOの画像はこちらより
※セカイカメラの画像はウィキペディアより