大内さんと、徳大寺さん。


「ホンモノは、その程度ではないよ」といつも言われてるようでした。
大内順子さんと、徳大寺有恒さんが、相次いでお亡くなりになりました。とてもショックでした。
ハイセンスな大内さん、ダンディな徳大寺さん。ファッションの世界で、クルマの業界で、それぞれ評論というフィールドで海外の文化やスピリットを伝えてくれた人でした。
70年代からバブル期くらいまでは、まだまだ日本の業界も成長期。海外の流行のパクったような商品を作り、それを日本国内で売りさばくような「商売」が主流でした。
そんな状況を鋭く批判し、「ホンモノを見抜く目を持ちなさい。そのために、知識や経験を重ねなさい」ということを伝えてくれたのがこのお二方でした。
カールラガーフェルド、ジバンシィ、ピエールカルダン、
ジウジアーロ、ピニンファリーナ、ガンディーニ、
雑誌やテレビを通して紹介された、「ホンモノ」の才能を持ったデザイナーやカロッツェリアの作品にあこがれたものです。
そういった情報に触れるたび、「似てるけどそうじゃない商品」が市場にあふれていて、それを見てガッカリしていたのを憶えています。
時代は変わりました。
かつてのように背伸びして海外をのぞき見て、その良さやエッセンスをマネしたりしなくてもいいような時代になりました。日本でも自分のアタマで考えて、「日本発」のアイデアや商品を発信できるようになりました。「ホンモノ」が作れるようになったのです。
そしてそうした商品を、僕らはある程度自信を持って選べるようになりました。
お二方がやってこられたことが、結実したのだと思います。
大内さん、徳大寺さん、安らかにお休みください。
※画像はhttp://www.asahi.com/articles/ASGC755QJGC7UCLV008.htmlより