いつもと違うミレー。

「そういえば、ミレー展、いつまでだっけ?」
「あっ!来週の木曜日までじゃん」
「おっ!じゃ行っておかないと!!」

そんな感じで、奥さんと押っ取り刀で向かった先は、府中美術館。

自宅からムリすれば徒歩でも行ける距離。なので「時間があるときに行こう」となかなか足が向かず。気がつくと次の展示に切り替わっていた、ということもしょっちゅう。灯台もと暗し、というか、単なるモノグサというか・・・ 今回は気がついたので良かった。

ビッグネームの展覧会だけど、こぢんまりとした美術館にふさわしい小品を集めた内容でした。

肖像画家として「食べて」いくことを決意した時期の作品で、嫁の父親の絵もありました。自分の人生をこれから築いて行く証として、絵を描くあたりは、やっぱり画家なんだな、と感じ入りました。

また、依頼のあった肖像画を仕上げたのに「似てない」と難クセをつけられ受取りを拒否された作品があって。それに対する抗議として、聖書の故事になぞらえた作品もその隣に展示されていました。結局、ミレーは当初の契約金の半分を手にすることができたそうです。絵のいざこざは、絵で解決。いかにも画家らしいやり方です。

ミレーといえば「晩鐘」「種を撒く人」「農民画家」ですが、今回はもっと広く、画家として、表現者としての一面を見させてもらいました。できれば、もうちょっと広いスペースでゆったり見たいな、とも思ったんですけどね。
奥さんの記憶によれば、このミレー展、府中のあとは宮城県美術館で展示されるそうです。
そういえば、この府中をはじめとして、比較的に小規模な美術館があちこちに建てられています。そうした美術館をターゲットとした小規模な展覧会が企画され、流通しているのではないかな、と作品を観ながら思いました。
その中のひとつが、今回のミレー展なのでしょう。