「ピースとハイライト」が、風刺? って、それはホントの風刺を体験したことがないからでしょ。

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あれって、風刺なわけ? どこが??
サザンが紅白で唄った「ピースとハイライト」。ニュースを見ると、桑田さんの勲章を使ったパフォーマンスも問題になっているようだけど、僕はそれは見てないので、ここでは歌詞だけを取り上げたい。
風刺とは、
「社会や人物の欠点・罪悪を遠回しに批判すること。また、その批判を嘲笑的に表現すること。(「デジタル大辞泉」より)」
つまり風刺というからには、クスッと笑ったり、当事者だったらちょっとイラッとくる言い回しがあって欲しいだけど。この唄にあるか?というと、ないでしょ。
歌詞にある教科書のネタも、歴史の「かいしゃく」のことも、過去のことや現状を言っているだけで、特にヒネリもないし。
ちなみに、現代史で大事なところでタイムアウトになって大事なことを教えてもらってない、っていってるけど、ここはすごく共感するな。
竹島の問題があるとか、択捉島や国後島は地図には書いてあるけどなぜ僕らは行けないの? ということは学校は教えてくれなかった。中学でも高校でも。
そういうことを思い出せてくれたことは、意味があると思うけど。
どちらかというと、サビの部分の「苗を植えていこう=未来に向けて実りのあることをしていこう」を主張する、言ってみればメッセージソングだよ。これは。
年末、忘年会とかでカラオケでいろんな歌を唄ったけど、特にJ-POPの歌詞の分かりやすさは、印象的だった。
主語と述語がきちんと対応していて、唄ってる内容も前向きで行儀がいいモノが主流。「元気を出そう」「頑張れば報われる」「勇気を出して好きと言おう」「大切な人を守りたい」とかとかとか・・・。
内容は別として、文章としての構成とか分かりやすさは、子どもが小学3年生くらいだった頃の、作文の文集を読んでるみたいだ、と(笑)。
要は、比喩とかメタファーとか、以前だったらよくあるようなテクニックとかギミックのない、平たい文章にメロディを付けたよう。
歌詞の内容をヘンにこねくり回しても、いまどきの人には理解されないだろうし、ちょっとでも刺激的なことを書いたら批判されたりして、商業的には失敗になってしまう。
そんなことを考えたら、可もなく不可もなく分かりやすい内容が主流になっていくんだろうな、とも思ったり。
そんな唄をふだんから聞いていた人たちには、例の桑田さんの唄は問題ありありなんだろうけど。
今まであんまり聞いたことのない刺激だったから、ビックリしちゃったんだろうと思う。で、形容する言葉がよく見つからなくて「風刺」って表現したんだろうな、などとも。
それにしても、ビジネスも世間の風評も気にすることなく(でも計算はしてる?)、自分の書きたいこと、やりたいことをやってる桑田さんは、やっぱりビッグネームなんだなぁ。
それから。
「風刺」をめぐる問題では、フランスで血なまぐさい事件が起きてしまった。ホントの風刺は、あのくらい恐ろしいことを起こしてしまうチカラがあるものだ、と思う。