ウェルクの「監修」は進まないと思う理由、医療コンテンツの制作実体験から

2016年11月24日に、公開されている記事について、医師や薬剤師などの専門家に対し、医学的知見からの監修の依頼を開始いたしました。

【お知らせ】「専門家による記事確認」および「記事内容に関する通報フォームの設置」について

いま大炎上中のウェルクですが、上のリリースで言うとおりには進まないだろうな。医療関係のコンテンツ作成の経験から直観的にそう思いましたね。その理由を次に列挙します。

医師は「エビデンス」を大前提とするので

ここで言うエビデンスは、例えば医学の教科書に載っているような知識や治療法や、医師の学会の統一見解とか、承認されている学術論文など。それらの情報をもとに医師は診療を行うわけです。インタビューなどでの発言や依頼原稿を作成する場合でも同じ。
これまで何度も医師のインタビュー取材をしているけど、医師は必ずテーマに関する論文や資料を持ってきていて、それを確認しながら話します。取材後、原稿をチェックしてもらうと関連する学術論文とかも改めて確認して「やっぱりこう書いて欲しい」と指示がきたり、微妙な言い回しも含めて「一言一句この通りにしてほしい」と言われたりすることもよくあること。
なので、“と言われています”“ということをよく聞きます”なんて責任逃れの伝聞調が多いウェルクの記事を医師が読んだら、「そのエビデンス持ってきて」「無いなら書き替えて」っていうことになりますね。きっと。

「監修」って、実は凄く重い作業って知ってた?

監修という作業は、実績あるプロが責任持って「大丈夫」ってハンコを押すということ。監修者の名前が出るし、無責任なことはできない。本人への取材原稿でさえ医師はあれだけ神経を使うのに、素人がネットからパクって作った文章なんかプロの医師がハンコ押すはずがない。DeNAのリリースには簡単に書いてあるけど、実際やってみると大変だよ。

注目されやすい病気や治療法ほど、監修できない可能性大

がんの新しい治療法みたいに注目されやすい情報はアクセスを稼ぎやすいので、ウェルクにたくさん掲載されていると思う。でもそういう情報ほどエビデンスが不足しており、はっきり書けないことが多い。一方でコレという医師がいると、そうじゃないと反論する医師も出てくる。監修する医師にもよほどの知見がないとできない。なので、監修という作業自体、手を付けられない可能性が大いにある。

監修できる医師を揃えられないでしょ

何でもウェルクには1000単位で記事が上がっているそう。テーマとなっている病気は治療法などもかなり細分化され多岐にわたっていることが予想されます。監修ができるほど実力ある医師になると、自分の専門分野以外は絶対に口をはさまないから、極端な話、ウェルクで扱っている病気の数だけ監修する医師が必要になってくる。
じゃ、ある程度幅広い知識を持っている権威を連れてくればいいんじゃない、というアイデアも出てきそうだけど、そんな人は一部の大学教授レベル。そういう人は普通忙しいし、学会やらの関係とかもあっておいそれと外に出てきたりはしない。Webのエセ情報サイトなんかでは絶対に動かない。

プロが試しに“監修”に近い作業をしたらものすごい時間がかかった、っていう記事が載ってましたね。仮に記事1本の監修に2万円払ったとして、1,000記事だと2千万!?
ファッションやコスメなどでやってきた、キュレーションという名のパクリ行為を医療分野に“ヨコ展開”しただけなのだろうけど、やり過ぎちゃったよね。DeNA自体のブランドイメージの毀損も含めると、ダメージは大きそうだ。

※2016/11/29現在、ウェルクのサイトは問題となりそうな医療関係の記事が一切閲覧できない状況になっています。ただ、Googleで「だるい」とか検索すると相変わらずの状況ですが。

※2016/11/30追記、ウェルクはついに全面閉鎖になりました。昨日の夜のことでした。
http://toyokeizai.net/articles/-/147045

■ウェルク問題はこの記事を読むとよく分かる(と思う)
DeNAがやってるウェルク(Welq)っていうのが企業としてやってはいけない一線を完全に越えてる件(第1回)
【告発も追記】やってはいけない一線を越えたDeNAのウェルク(Welq)をとりあえず直ちに閉鎖すべき理由(シリーズ第2回)

そもそも「キュレーション」って、れっきとした能力だったはず。それが今回の騒動で「=パクリ」という認識が広がってしまった気がする。

ミッキーマウスまんじゅう

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中国か、ここは! って思わず突っ込んじゃった!!

上野動物園の正門前にある遊園地? まだあるんですね、このキッチュな雰囲気。

にこやかに入場を誘っているのは、7人のこびと?にしては足が長い!?
で、中に入るとちょっと耳が大きなぞうさん(笑)がぐるぐると空を飛ぶ乗り物とか、とか。

ちょっと前に問題になった中国のマネっこテーマパーク、パクリパークの風情。

もちろん、ピカチュウとかアンパンマンの「正規モノ」もあって、外に向かってどーんとアピールしてたりするんですが。

そういえば、ディズニーランドができた直後、あのときは東西線の浦安からバスで行くしかなくて(だって京葉線ができてなかった)、駅前に新しくバスターミナルが作られたんだけど、そこに行く道の両脇にいろいろ怪しい店がでてた。

「ミッキーマウスまんじゅう」なんて、当たり前のように並んでたしね。他にディズニーっぽいアクセサリーとか、バッグのカタチした何かとか。もちろんどれも許可なんて取ってない。
中国パクリパークのテイストそっくりなミッキーもどき、ミニーもどきとかが、いまから30年くらい前の浦安ですでに並んでたわけ。

そんなふうに、日本では僕が見る限り80年代くらいまでは、パクリとかマネッことか、よく見た光景で。このキャラはアレから作ったな、これはあの人気商品のマネだな、なんてのは日常茶飯事。駄菓子から家電、ファッション、さらにクルマとかまで。

まさに、どんな商品も、パクって便乗して売れて育った!?

だから、中国がパクリ大国とかあんまり言い過ぎるのは、天に向かってつばを吐くようなモノ。

パクリなんて、成長の過程でみんな通ってきたけもの道、みたいなものだよ。