夢の終わり。あるいは始まり?

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クルマが売れない。と、もはやお約束的なフレーズになっちゃってますが。
調べてみたら、1990年度の780万台を最高に、リーマンショック直後の2009年に460万台まで落ち込んで、2013年度は538万台。ざっくり、3分の2くらいになってしまったわけだけど。まあ、売れてない。
ちなみに1990年というと、ホンダからスポーツカー「NSX」が出たり、翌年にはトヨタからバブルを体現したかのような「ソアラ」が出たり。その他にも軽の「ホンダ ビート」「スズキ カプチーノ」、かなりニッチな「スバル アルシオーネSVX」「いすゞ ビークロス」なども。クルマ業界はまさにゴールデンエイジだったわけ。いまでもこの時代のクルマが、けっこう良い値段で取引されています。
エコブームとか、非正規雇用が増えたとか、所得が伸びないとか、高齢化とか、売れない理由としていろいろ言われていますが。
でも僕はひとこと、
「夢がなくなった」のだと思う。
クルマというと、まず、スピードの夢があった。最高速、時速200キロでると、「スゲー」って、男のたちは目をみはりました。でもね、いまはカローラでさえリミッターを外せば出せるスピード。高性能なクルマになると、時速300キロは当たり前、400キロ!を豪語するモデルも。でも、そこまでくると、夢とかあこがれを通り越して、単に別世界の話。ふ〜ん、で終わってしまう。
夢が、終わっちゃったわけ。
だったら、自分のフィジカルで動かす自転車とか、もっというとゲームでラスボスを倒すとか、そういうことに「夢中」になるようになったわけだ。
いまスポーツカーを買ってるのは主におじさん、90年代を引きずってる層がメイン。若い人はあまり買ってないし、乗ってない。
ちょっと景気が上向いたおかげか、NSXのハイブリッド版など各社からスポーティなクルマの発売が予定されてるけど、発表会とかネットの反応を見る限り、群がってるのはおじさんばっかりだ。
エコとか、燃費とか、8人乗りとか、そういう目先の実用性ばかりじゃなくて、若い人がなんか欲しくなるような「つぎの夢」というか「クルマに乗る価値」みたいなものを打ち出さない限り、クルマの売上げ台数は人口減少のグラフと同じような線を描くんだろうな、と思ったのでした。